フリーランスと個人事業主の違いは?税金から開業手続きまで自営業を成功させる完全ガイド|フリコネ

フリーランスと個人事業主の違いは?税金から開業手続きまで自営業を成功させる完全ガイド|フリコネのカバー画像

フリーランスと個人事業主の違いは?税金から開業手続きまで自営業を成功させる完全ガイド

公開日:2025/05/21最終更新日:2025/06/27

会社に属さずに働くフリーランスや個人事業主という働き方が注目されていますが、この二つには明確な違いがあります。フリーランスは雇用関係のない自由な働き方を指し、個人事業主は税務署に開業届を提出した事業者を意味します。


本記事では、フリーランスと個人事業主の違いを詳しく解説するとともに、自営業との関係性、税金や社会保険の仕組みまでわかりやすくお伝えします。


これを読めば、自分に合った働き方を選択できるようになり、開業手続きの流れや最新の法制度についても理解できます。専門知識を実践的なポイントとしてまとめていますので、独立を考えている方はぜひ参考にしてください。

1.「フリーランス」「個人事業主」「自営業」それぞれの定義とは?

フリーランスや個人事業主、自営業といった言葉は、いずれも「独立して働く」イメージを伴います。しかし、これらは必ずしも同義ではありません。この節では用語の違いを明らかにし、今後の解説をスムーズに理解できるよう整理します。

フリーランスとは?

フリーランスは、特定の会社や団体に属さず、個人で業務委託契約などを結び仕事をする形態を指します。雇用契約ではなく、案件ごとに契約を締結し、納品物や成果物に対して報酬を受け取るのが一般的です。

  • 自由度が高い
    自分の裁量で仕事を選択できるため、働く時間・場所が比較的自由です。

  • 法人登記の有無は問わない
    フリーランスであっても、個人事業として活動する人もいれば、法人を設立しながらフリーランス的に動く人もいます。

個人事業主とは?

個人事業主は、税務署に「開業届」を提出して事業を営む人のことです。税法上の区分であり、法人を作らず個人の名義でビジネスを行います。

  • 責任の所在
    個人名で契約し、経理・納税・社会保険の管理を自分で行う必要があります。

  • 青色申告のメリット
    個人事業主になれば、一定条件を満たせば青色申告ができ、税制上の恩恵を受けやすくなる可能性があります。

自営業とは?

自営業は、会社などに雇用されず自分の事業を行う働き方の総称です。実店舗で飲食店を経営している人も、自宅でWebサービスを展開している人も、自社(法人)を設立しているオーナーも広義の「自営業者」といえます。

  • 個人事業主や法人代表も含む
    自らビジネスを運営していれば「自営業者」。従業員を雇っている場合でも「自営業」と呼ぶことができます。

  • フリーランスとの違い
    フリーランスの多くは「一人で案件を受ける形態」を指す一方、自営業には小売店経営者や飲食店経営者など、複数の従業員を雇う業態も含まれます。

2.フリーランスと個人事業主はどう違う?共通点とポイントを整理

フリーランスと個人事業主は混同されがちですが、本質的には「働き方を指す呼び方」と「税法上の区分」という違いがあります。この章では、両者の共通点と、どのような点で差が生まれるのかを解説します。

共通点:会社組織に属さない個人

フリーランスと個人事業主は、会社員ではなく独立して活動している点が最大の共通点です。両者とも雇用契約がなく、自ら仕事を探して報酬を得る必要があります。


フリーランスは自分で案件を獲得し、個人事業主も同様に自ら業務を見つけて売上を立てていきます。また、社会保険も自己管理が必要です。会社員のように厚生年金や健康保険が給与から天引きされる仕組みはなく、独立後は自分で保険や年金の手続きを行い、保険料を支払わなければなりません。このような自己責任の部分が、フリーランスと個人事業主に共通する大きな特徴となっています。

違い:開業届の有無

フリーランスと個人事業主の最も明確な違いは、税務署への開業届提出の有無にあります。フリーランスは働き方のスタイルを示す言葉であり、法律上は開業届が必須ではありません。一方、個人事業主は開業届を税務署に提出することで、正式に納税者として事業を行う立場が明確になっています。


実務上では、開業届を提出した個人事業主がフリーランス的な働き方をしているケースが非常に多く見られます。開業届を出さなくてもフリーランスと名乗って仕事を受けることは可能ですが、青色申告による税制上の優遇措置を受けられないなどのデメリットが生じます。


また、契約面での信用度にも差が出てきます。開業届を提出して個人事業主としての立場を明示している方が、クライアントからの信頼を得やすく、案件獲得時の信用力が高まることがあります。特に大手企業との取引では、個人事業主としての正式な立場が求められることも少なくありません。

こんなときは法人化も選択肢に

個人事業主の所得が増え、納税額が大きくなってきたら、法人設立を検討してみるのも一案です。所得の一部を役員報酬として受け取るなど、法人特有の節税策があるため、所得水準によっては個人事業主でいるよりも税制面のメリットが大きくなる可能性があります。

3.税金と社会保険の仕組み|フリーランス・個人事業主はどうなる?

フリーランスや個人事業主として働きはじめると、会社員時代とは大きく異なる税金や社会保険の負担を実感することが多いです。ここでは、特に「どんな税金をどれくらい支払うのか」「どのように保険や年金を管理すればいいのか」を整理しましょう。

フリーランスや個人事業主が支払う主な税金

フリーランス個人事業主違い税金という切り口でよく検索されますが、具体的にどの税金が関わるのでしょうか?以下の4つが代表的です。

  1. 所得税
    1月から12月の所得に対して課せられる国税です。フリーランスの場合は白色申告または青色申告によって計算し、翌年2〜3月に確定申告します。

  2. 住民税
    前年の所得に基づいて、都道府県・市区町村へ支払う地方税です。6月頃に納付通知書が届くので、年4回分割や一括などで納付することになります。

  3. 個人事業税
    法定された70種類の事業を営んでいる個人事業主は、年間の所得が一定額を超えると個人事業税がかかります(※業種により非課税の場合もあり)。

  4. 消費税
    前々年度の課税売上高が1,000万円を超えていれば納税義務があります。インボイス制度の導入により、免税事業者でも適切な対応を求められる場面が増えました。

フリーランス・個人事業主の社会保険と年金

独立した場合、会社員時代の健康保険と厚生年金から、国民健康保険と国民年金へ切り替えるのが一般的です。保険料は全額自己負担になるため、会社員と比べると支払い負担が大きくなる場合があります。

  • 国民健康保険の注意点
    所得が高くなると保険料も上がりやすいです。一時的に会社員時代の健康保険を「任意継続」できる場合もありますが、最長で2年しか継続できません。

  • 年金の不安
    国民年金のみでは老後資金が十分でない可能性があります。iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済など、フリーランスや個人事業主が利用しやすい制度を活用し、将来に備えることが大切です。

もし開業届を出していないとどうなる?

フリーランスとして活動していても開業届を出していない場合、青色申告による特別控除が受けられないというデメリットがあります。また、取引先からの信用力が下がるほか、各種補助金や助成金の申請も難しくなります。


法律上は事業開始から1ヶ月以内に提出すべきと定められていますが、遅れても罰金はありません。しかし、スムーズな事業運営のためには、フリーランスから個人事業主へステップアップするための開業届を、早めに準備して提出することをおすすめします。

4.メリット・デメリット比較|フリーランスと個人事業主でどう違う?

この章では、フリーランスと個人事業主それぞれの働き方がもたらすメリットとデメリットを詳しく比較します。契約の自由度や税制優遇、収入の安定性など多角的な観点から両者の違いを解説し、さらに年収によって選ぶべき働き方についても触れていきますので、独立を検討している方は特に参考にしてください。

メリット面の比較

  • 契約自由度
    フリーランスは案件ごとに柔軟に契約しやすいです。個人事業主も自由に契約できますが、正式に開業届を出していると法人クライアントからの信用が多少高まりやすい可能性があります。

  • 税制優遇
    個人事業主として青色申告を行うと最大65万円の控除が利用できるため、所得税が軽減される場合があります。一方、フリーランスでも開業届を出していれば同様に恩恵を受けられます。つまり、フリーランス=開業届を出せば個人事業主になるので、結果的に同じメリットを享受できます。

  • 自己成長と柔軟性
    いずれも自分の専門スキルを活かし、多様な業務にチャレンジ可能です。働く時間や場所をかなり自由に設定できる点も共通のメリットといえます。

デメリット面の比較

  • 収入の不安定さ
    フリーランス・個人事業主ともに、仕事が途切れたときのリスクは会社員より大きくなります。

  • 信用力
    フリーランスは名乗るだけなら開業届なしでも始められますが、対外的な信用という点で不利に働くケースがあります。個人事業主も法人と比べるとクレジットカードやローンの審査で不利な場合があります。

  • 事務的負担
    税務や経理、契約書面の作成・管理などを自力で行わなければなりません。慣れないうちは煩雑に感じるかもしれません。

個人事業主をやめた方がいい年収とは?

個人事業主やめた方がいい年収について疑問を持つ方が多いですが、これは収入が高くなると法人化による節税メリットが大きくなるためです。


いくらから法人化すべきかは業種や経費構造によって異なりますが、一般的に年間売上が1,000万円を超えると、消費税や所得税の負担増加から法人成りを検討する個人事業主が増えています。フリーランスから個人事業主、そして法人へと段階的にステップアップを考えることも重要です。

5.「個人事業主になれない人」っている?法的な制限とフリーランス新法の動向

働き方の多様化で注目される一方、「そもそも個人事業主になれない人はいるのか?」と気になる声も聞かれます。あわせて、フリーランスを取り巻く最新の法制度として「フリーランス新法」についても触れておきましょう。

公務員・副業禁止規定がある会社員

公務員はフリーランスや個人事業主として副業を行う際に制限があります。一定規模を超える副業活動は難しく、民間企業でも就業規則で副業禁止を定めているケースが多いです。


特に趣味や内職レベルを超えて継続的な事業と判断される規模になると「個人事業主」とみなされ、規定違反となるリスクがあります。独立前には必ず所属先のルールを確認しましょう。

フリーランス新法とは?

正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」であり、「フリーランス新法」と呼ばれる法律が制定され、すでに施行されています。

この法律は、フリーランスや個人事業主が不当な契約や報酬トラブルに巻き込まれないよう、国が保護を強化するものです。

主なポイントは以下の通りです。

  • 報酬未払い・下請代金などの適正化:発注者側に報酬遅延や契約上の不利益を押し付けないよう求めるルールが定められています。

  • 育児介護との両立支援:フリーランスが育児や介護と仕事を両立しやすくなるための規定も含まれています。

6.個人事業主として成功するためのポイント

フリーランスと個人事業主は、自ら営業活動を行い、経理処理をし、売上確保に取り組む必要があります。大変な面もありますが、ポイントを押さえれば事業を軌道に乗せやすくなります。

1)まずは開業届で青色申告の権利を確保

開業届を出さない人がいるのは事実ですが、青色申告のメリット(最大65万円の控除など)は非常に大きいため、正式に開業手続きをすることをおすすめします。個人事業主としての信用力向上も期待できます。

2)お金の管理と書類整理を徹底する

フリーランスや個人事業主の場合、売上と経費の境目があいまいになると、確定申告で思わぬミスや損をすることがあります。会計ソフトを活用し、事業専用口座やカードを持つと便利です。

3)適切な価格交渉と契約書の作成

案件ごとの契約条件はフリーランスの収益に大きな影響を与えます。特に報酬が成果物に見合わない場合は、遠慮せずに交渉を行いましょう。口頭契約はトラブルのリスクが高いので、契約書や請求書を明確化しましょう。

4)実績と専門性をアピール

「選ばれる個人」であるためには、専門性や実績を可視化する工夫が必要です。自分のWebサイトやSNSなどを活用して、過去の事例やスキルを積極的に発信すると、新規案件の獲得につながりやすくなります。

7.まとめ

フリーランスと個人事業主の違いは「働き方」か「税法上の区分」かにありますが、実際には重なり合う部分も多いです。自由度が高い一方で、税金や保険、信用面などの課題を自力で乗り越える必要がある点に注意しましょう。大事なのは、自分の事業規模やスキルに合った形を選択することです。


開業届や青色申告、必要に応じた法人化といったステップを踏みながら、ぜひ理想の働き方に近づけてみてください。もし迷ったら、税理士や専門家に相談し、最適な道を探るのもおすすめです。

フリーランス案件・求人を探す